対等。








 

 













お昼休みの屋上への階段の踊場。

俺は何だか知らねーけど、女達が追っかけてくるから
ここに逃げるようになった。

ここならあんま人来ねーし。

いるとしても一人だけだし。




着いたはいいが、いつもそこにいる人物がいない事に気付いた。

辺りを見渡しても人影はない。



「まだ来てねーか…。」



一人で呟いて階段を一段上ろうとしたら、



「うわっ?ちょっとそこでストップ犬飼君!」


いつも先に来ている人物の登場だ。


?」



声をかけるが、知らない振りで俺の横を通り過ぎる背の高い女。



俺がここに逃げ込むようになってから知り合った奴。

最初はどっか行って欲しいとも思ったんだけどよ、
話してみると結構話しやすい奴で
いつの間にか昼はこいつと取るようになったんだ。





が通り過ぎた後の空気は、の長い髪から香る
甘い匂いがする。


いいな…とか思ったり。




「オッケ、お待たせ犬飼君!」


階段の一番上に腰掛ける。

俺はその二段下。



「とりあえず、食うか。」

「うん!」



食事中は会話はない。

ただ黙々と食うだけだけどよ、別に苦痛じゃねーんだ。

の奴、すごく美味そうに食うからよ、それ見てると楽しいし。





「おまえ食ってる時幸せそうだな。」

「うん、食べるの大好きvv」



食い終わってからの会話。

別にたいした事話してるわけじゃねーんだけど、
このまったりした時間が好きだなって思う。






「そういや、聞きたかった事があるんだけどよ。」

「ん?なになに?」



重要な事じゃないけど、ちょっとした疑問。



「おまえ何で俺よか上の段に座るんだ?階段。」



この何気ない疑問がの心の表れだなんて気付かなかった。

少し困った顔で、次に少し顔を赤くして百面相もいいんだけどよ、
早く答えろよ。











「あ、あたしね見下ろされるの嫌いなの!」

「は?」

「あたし背高いでしょ?だから見下ろされるの慣れてなくって…。」


確かには女の中じゃ背の高い方だろうな。


「そんな事か・・・・・・。」


くだらない理由だった事に呆れて溜息をつくと、






「あーっ!今のウソ!やり直し!オッケー?」

「お、おう。」



やり直しって何だよ?

おかしな奴。




「あ、あのね?あたしは対等でいたいの、君と!」

「対等?」

「うん。同じ目線で話したり、見たりしたいの。」




対等までの差が階段二段分だと言った。




「変なヤツ。」

「だって負けたくないんだもん。」

「・・・誰に?」

「犬飼君に!」

「何で俺なんだよ…。」





不満に思いの顔を見ると、逆光でよく見えなかったが、
満面の笑み。


・・・そうか。




「・・・とりあえず、一生俺の勝ちだな。」

「うわっ何それー!」

「対等にはならねーって事だ。」

「強気だねー?その自信はドコから来るの?」

「・・・・・・ここから。」

「うわーっ!!!!!」




焦ってるを無視して俺は昼メシの片付けをする。



「いっ犬飼君…い、今っキキキキ!!!」

「・・・猿かおめーは。」

「キスしたー!!!」

「頬くらいいいじゃねーか。」

「良くなーい!!…ような良いような?」








最近、昼休みが楽しみな自分に気付いて。

最近、を目で追ってる自分に気付いて。

今日、を好きな事に気付いた。




「とりあえず、対等にはならねーよ。」

「あたしは犬飼君と同じ物をずっと見てたいんだよ!」



振り向きざまに言った笑顔全開な



「・・・今、少し負けたかも。」














-END-




あとがき。
40000HIT氷月様に捧げる犬飼夢!ってか負けるの早いなー!
そして司馬に続きニセモノー(爆)
しかもまたもやヒロインテンション高ー(笑)
その上ワケわからないかもです(汗)
すみませんこんなヘッポコ物質送りつけて!
よろしければ受け取ってくださいー。
リクありがとうございましたvv

能条さくや







再び・ありがとうございました能条さ――ん!!

はい!前回頂いた司馬夢に引き続き能条様に頂いた2つ目のドリーム、犬飼夢です!
ヒロインが犬飼にとって、他の女の子達とは違うちょっと特別な存在へと進化して行く様子が実に
萌えですね…!!て言うかちゅーされたー!!うをを…!なんでそんな余裕綽々なんだよ犬飼!!
女の子苦手じゃなかったのかオマエ!!(笑)…でもいいんだ、幸せだから(私が)
ヒロインの髪の匂いに幻惑(!?)される犬飼もラヴい…!犬飼って鼻利きそうなイメージです(…犬だけに。笑)
好きな人と同じ目線で、ずっと同じものを見ていたい気持ちって何だかとても良くわかる様な。
前回に続き、テンション高めのヒロインが実に私好みです(笑)こういうわかりやすい子、大好き。
…と言うわけでですね、実は前回の馬夢を頂いた後、次の犬夢は『学校モノ』の予定だと能条さんに伺って、
更に調子に乗りまくり氷月はヒロイン画を能条さんへと送りつけたという。興味のある方はコチラからどうぞ→
能条さん、素晴らしい作品を(2作も…!)本当にありがとうございました!!




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